第114章 選抜

だから橘結衣がどれだけ成績優秀でも、永遠に自分には敵わない。

橘晴美は、胸のつかえがすっと下りた。

自分こそが橘家にふさわしい「お嬢様」。橘家がただ一人、ひたすら甘やかし愛する存在。

橘結衣なんかに、パパもママも、お兄ちゃんたちも奪わせるものか。

「ママ、分かった。私、ちゃんとピアノを練習する。真優さんみたいなお嬢様になれるように」

そう言うと、晴美は譜面に向き直り、改めて真剣に指を動かし始めた。

橘礼子はそれ以上口を挟まず、ピアノ室を出る。扉を閉めたあと、廊下でしばらくじっと立ち尽くし――橘結衣のことが脳裏をよぎって、思わず小さく息を吐いた。

橘結衣の成績には、正直驚かされた...

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